「一枚の布」から始まる革命!ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)が世界を魅了し続ける理由
はじめに:ファッションの概念を変えた日本の奇跡
皆さんは、ファッション業界で「Big 3」と呼ばれる日本人デザイナーをご存知ですか?川久保玲(COMME des GARÇONS)、山本耀司(Yohji Yamamoto)、そして三宅一生(ISSEY MIYAKE)—この3人が、1970年代から世界のファッション界に巻き起こした革命は、今なお色褪せることがありません。
その中でも特に異彩を放つのが、ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)です。「え、あのプリーツの服のブランド?」なんて思ったそこのあなた、それは氷山の一角!このブランドの真の凄さは、「服とは何か?」「着るとは何か?」という根本的な問いに対して、全く新しい答えを提示し続けていることなんです。
まるで「哲学者なのに実用的」な理想の先生みたいな存在。それがISSEY MIYAKEなのです!
基本情報:ブランドプロフィール
- ブランド名:ISSEY MIYAKE(イッセイミヤケ)
- 設立年:1970年(三宅デザイン事務所設立)、1971年(初コレクション発表)
- 創設者・デザイナー:三宅一生(みやけ いっせい、1938年4月22日生まれ)
- 出身地:広島県広島市
- ブランドコンセプト:「一枚の布」「身体と衣服の関係性の探求」
- 特徴:革新的な素材開発×伝統的な日本美学の融合
- 展開:メンズ・ウィメンズ・多数のサブライン
- 現デザイナー:近藤悟史(2020年春夏コレクションより就任)
- 世界的地位:パリコレ常連、世界的ファッション界のレジェンド
創設者ストーリー:戦争の記憶から生まれた創造への意志
ISSEY MIYAKEを語る上で欠かせないのが、創設者・三宅一生の壮絶な人生体験です。
7歳で体験した原爆投下
1945年、広島県への原爆投下の際、三宅一生は7歳にして母親と共に被爆しました。母は原爆の後遺症である放射能障害のため3年も経たないうちに亡くなっており、破壊ではなく、創造による美しさや喜びを考えた結果、衣服のデザインの道にたどり着いたと言います。
この壮絶な体験が、後に「美しいものを創造する」という彼の人生哲学の根幹となります。破壊ではなく創造。憎しみではなく愛。そんな強い意志が、ISSEY MIYAKEの服に込められているのです。
才能の開花:多摩美時代から世界へ
高校卒業後は上京して、多摩美術大学に入学。在学中から、第10回、第11回の装苑賞を連続して受賞するなど、頭角を現していました。学生時代から、衣服をファッションではなくデザインととらえる独自の視点を発表し注目されたというエピソードが、彼の革新性を物語っています。
大学卒業後、1963年に自身初のコレクション「布と石の詩」を発表。そこからフランスへ渡り、パリのサンディカという洋裁学校でファッションの基礎を学びます。その後、有名デザイナーであるギ・ラロッシュやジェフリー・ビーンのもとで働きながら「衣服の機能性」について探究するようになります。
この海外での修行時代に、5月革命で学生たち若者による抗議運動を目の当たりにしたことを契機に、一般人に向けた服作りをスタートしたというのも、彼の思想を形成する重要な転機でした。
ブランドの哲学:「一枚の布」という革命的思想
ISSEY MIYAKEの最大の特徴は、「一枚の布」という思想に貫かれることで、西洋・東洋の概念にとらわれない普遍性を持った衣服へと発展していることです。
1. 身体と布の関係性への探求
身体と布のあいだに生まれるゆとりや”間”の関係を追求した服づくりというアプローチは、まさに日本的な美学の現れ。西洋の「身体に沿う」服づくりとは根本的に異なる発想です。
「服は第二の皮膚ではない。服は身体と外界の間に存在する『空間』そのものである」—そんな哲学的な考え方が、ISSEY MIYAKEの服の根底にあります。
2. 素材からのアプローチ
1本の糸から研究し、オリジナル素材の開発から始まるものづくりは、今日まで受け継がれています。多くのブランドが既存の生地を使用する中で、ISSEY MIYAKEは糸の段階から独自開発する徹底ぶり。これは単なるこだわりを超えた、服づくりに対する根本的な姿勢の違いなのです。
ブランドの歩み:1970年代からの快進撃
創設期:日本からの発信
1970年、アジア初の万国博覧会が大阪で開催(通称「大阪万博」)を前に、三宅一生は日本に帰国し、東京に「三宅デザイン事務所」を設立します。これが、ブランド「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」のスタートとなります。
その翌年の1971年にニューヨークで初めて「イッセイミヤケ」のコレクションを発表した。いきなり海外でデビューするという、当時としては非常に珍しいアプローチでした。
パリコレ進出:世界への挑戦
1973年に初参加したパリコレクションでは、「1枚の布」というブランドコンセプトのもと服作りの概念を覆す衝撃的なデビューを果たします。
1974年に一号店を東京・外苑前にオープン。翌年にはパリに海外一号店をオープンした。この素早い展開からも、世界的な反響の大きさが伺えます。
デザインの特徴:科学と芸術の完璧な融合
1. 革新的な技術開発
ISSEY MIYAKEの最大の特徴は、ファッションの枠を超えた技術開発力です。単なるデザイナーズブランドではなく、まさに「服の研究開発機関」と呼べるほどの技術力を持っています。
2. プリーツ技術の革命
最も有名なのが、1988年にウィメンズコレクションで発表した「プリーツ」を発展させ、1994年春夏シーズンから単独ブランドとしてスタートした「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」です。
「製品プリーツ」という服の形に縫製した後でプリーツをかける技法により、機能性の高いプロダクトとしての衣服が実現しました。軽さ、着やすさ、水洗いもできる扱いの簡便さを備えながら、身体の形と動きに馴染むシルエットを生み出します。
従来のプリーツ技術を完全に覆したこの手法は、まさに「発明」と呼ぶべき革新でした。
3. 彫刻的なアプローチ
三宅一生の服づくりは、しばしば「彫刻」にたとえられます。平面的な布から立体的な服を生み出すプロセスは、まさに彫刻家が石から美しい造形を生み出すのと同じ創造行為なのです。
多彩なライン展開:それぞれの個性
ISSEY MIYAKEは、メインライン以外にも数多くのサブラインを展開しています。
1. PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE(プリーツプリーズ イッセイミヤケ)
ISSEY MIYAKEを代表するブランド「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」。オリジナルのプリーツ製法により美しさはもちろんのこと、機能性や着心地を追求し、現代女性の生活に溶け込む製品を展開しています。
2. HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE(オム プリッセ イッセイミヤケ)
2013年、「オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE)」デビュー。男性向けのプリーツラインとして登場し、現代男性のライフスタイルに革命をもたらしました。
3. A-POC(エーポック)
「A Piece Of Cloth(一枚の布)」の略称で、革新的な製造技術による新しい服づくりのプロジェクト。
4. 132 5. ISSEY MIYAKE
三宅一生と研究開発チームのReality Lab.(リアリティ・ラボ)による服作りのプロジェクト「132 5. ISSEY MIYAKE」が2012年にイギリス・ロンドンで行われた「デザイン・オブ・ザ・イヤー2012」の審査会にて「デザイン・オブ・ザ・イヤー2012」のファッション部門最優秀デザイン賞を受賞。
世界的評価:ファッション界のレジェンド
1. パリコレでの独特のポジション
「イッセイ ミヤケ」のショーは、パリコレの中でも独特のポジションにあり、モデルのランウェイショーの概念さえも変革し続けています。
2. 美術館レベルの評価
2016年、国立新美術館で三宅一生の展覧会「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」が開催。三宅が活動を開始した1970年から現在に至る約45年間の仕事を紹介する、これまでにない規模の展覧会となった。
服が美術品として美術館で展示される—これほどまでにアートとして評価されているファッションブランドは珍しいでしょう。
3. スティーブ・ジョブズとの関係
あのAppleの創設者スティーブ・ジョブズが愛用していた黒のタートルネックは、実はISSEY MIYAKEのものでした。機能性とミニマリズムを追求するジョブズの哲学と、三宅一生の思想が共鳴した結果の象徴的なエピソードです。
技術革新:ファッション界のR&D部門
1. Reality Lab.(リアリティ・ラボ)
ISSEY MIYAKEには、専門の研究開発チームが存在します。これは一般的なファッションブランドでは考えられない組織体制で、まさに「ファッション界のNASA」とも言える存在です。
2. コンピューターとの融合
早くからコンピューター技術を服づくりに取り入れ、デジタル技術と手工芸の融合を実現。これにより、従来では不可能だった複雑な形状やパターンの服を生み出すことが可能になりました。
3. 持続可能な製造技術
環境に配慮した製造技術の開発にも積極的で、廃棄物を最小限に抑える「ゼロ・ウェイスト」の服づくりも追求しています。
価格帯と購入方法:アートピースへの投資
価格帯の目安
- ISSEY MIYAKE(メインライン):
- トップス:5万円〜15万円
- ボトムス:6万円〜20万円
- アウター:10万円〜30万円以上
- PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE:
- トップス:2万円〜8万円
- ボトムス:3万円〜10万円
- ワンピース:4万円〜12万円
- HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE:
- トップス:3万円〜10万円
- ボトムス:4万円〜12万円
購入場所
- 直営店:全国の主要都市に展開
- 百貨店:伊勢丹、高島屋など高級百貨店
- セレクトショップ:BEAMS、UNITED ARROWS等の高感度ショップ
- オンライン:公式オンラインストア、各百貨店のEC
- 海外:パリ、ニューヨーク、ロンドンなど世界の主要都市
ターゲット層:知的好奇心旺盛な大人たち
年齢層
主に30代〜60代の、ファッションに対して深い理解と関心を持つ層
ライフスタイル
- アートや文化に関心が高い
- 質の高いものを長く愛用したい
- 個性的でありながら洗練されたスタイルを求める
- 機能性も重視する実用主義者
職業
- クリエイティブ系(建築家、デザイナー、アーティスト)
- 研究者・学者
- 文化関係者
- 経営者・専門職
着こなしのコツ:日常にアートを取り入れる方法
1. 一点投入法
ISSEY MIYAKEは主張の強いアイテムが多いので、まずは一点を主役にしたコーディネートから始めましょう。プリーツのトップス一枚でも、十分にスタイリングの核となります。
2. シンプルとの組み合わせ
複雑な造形の服には、シンプルなアイテムを合わせるのが基本。白いシャツやベーシックなパンツと組み合わせることで、ISSEY MIYAKEの美しさが際立ちます。
3. 色使いの工夫
ISSEY MIYAKEは色使いも独特です。一見派手に見える色でも、絶妙な調合により上品に仕上がっているので、思い切って取り入れてみましょう。
4. 小物との調和
バッグや靴は、ISSEY MIYAKEの世界観を邪魔しないミニマルなものを選ぶのがポイント。素材感や質感を重視して選びましょう。
世代を超えた継承:新たなデザイナーたちへ
歴代デザイナー
三宅一生は2000年のコレクションから、イッセイミヤケのデザイナーを滝沢直己に引き継ぎ、2007年のシーズンをもって退任した。
現在は、2020年春夏コレクションからは、近藤悟史がデザイナーに就任。人々の感情や生活を豊かにするという想いのもと、身体と衣服の関係、それにつながる新しい美意識の表現を探求しています。
継承される思想
デザイナーが変わっても、ISSEY MIYAKEの根本思想は確実に受け継がれています。それは単なるテクニックの継承ではなく、「服とは何か?」という根本的な問いに対する姿勢の継承なのです。
現代における意義:なぜ今ISSEY MIYAKEなのか
1. サステナブルファッションの先駆者
使い捨てのファストファッションが問題視される現代において、「長く愛用できる服」を作り続けてきたISSEY MIYAKEの姿勢は、まさに時代の要請に応えるものです。
2. 機能性への注目
リモートワークやアクティブなライフスタイルが求められる現代において、美しさと機能性を両立するISSEY MIYAKEの服は、新たな価値を持ち始めています。
3. 個性の時代への対応
画一化された大量生産の服ではなく、個性的でありながら洗練された服への需要が高まる中、ISSEY MIYAKEの存在意義はますます大きくなっています。
海外展開:世界が認めるMade in Japan
ISSEY MIYAKEは、日本発のブランドとして世界で最も成功したブランドの一つです。パリ、ニューヨーク、ミラノ、ロンドンなど、世界のファッションの中心地すべてに店舗を展開し、現地のファッション愛好家から高い評価を得ています。
特に注目すべきは、単なる「日本らしさ」を売りにするのではなく、普遍的な美しさと革新性で勝負していることです。これにより、一時的なエキゾチシズムではない、本物の国際的評価を獲得しているのです。
まとめ:服を超えた文化的存在
ISSEY MIYAKEは、単なるファッションブランドではありません。それは「服とは何か?」「美とは何か?」「創造とは何か?」という根本的な問いに対して、一枚一枚の服で答え続ける哲学的プロジェクトなのです。
戦争の記憶から生まれた「破壊ではなく創造を」という強い意志。日本の伝統的美学と最先端技術の融合。東洋と西洋の概念を超えた普遍的な美の追求。そして何より、着る人の生活を豊かにしたいという純粋な想い—これらすべてが、ISSEY MIYAKEの服には込められています。
「一枚の布から始まる無限の可能性」。三宅一生が半世紀以上にわたって追求し続けてきたこのテーマは、現在も新たなデザイナーたちによって継承され、発展し続けています。
あなたがもしISSEY MIYAKEの服を手に取る機会があったなら、それは単なる服の購入ではありません。それは、人類の創造力の結晶に触れる、文化的体験なのです。きっと、「服」に対する価値観が根底から変わるはずです。
未来に向かって歩み続ける現代において、ISSEY MIYAKEは私たちに大切なことを教えてくれます。「真に美しいものは、時代を超えて愛され続ける」そして「創造する勇気こそが、世界を変える力になる」ということを。

