【フランス】反逆のオートクチュール/Jean Paul Gaultier

※画像引用しています

Jean Paul Gaultierとは?

Jean Paul Gaultier(ジャンポール・ゴルチエ)は、フランスのオートクチュールおよびプレタポルテ(既製服)ブランドであり、創業者ジャン=ポール・ゴルチエが築き上げた“反逆のオートクチュール”として知られています。

1976年に自身の名を冠したブランドをスタート。性別や社会的枠にとらわれない前衛的なスタイルで、80年代から90年代にかけて世界的なファッションシーンに一石を投じました。

ゴルチエの作品は、ストリートカルチャー、宗教、SMカルチャー、民族衣装など多彩な要素を融合し、「常識を疑うことこそが美である」と言わんばかりの大胆なアプローチが特徴です。


ブランドの歴史とデザイナー

  • 創業者:ジャン=ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)
    1952年生まれのフランス人デザイナー。独学でファッションを学び、1970年代にはピエール・カルダンの下で経験を積みました。1976年に自身のブランドを設立。
  • 1980~90年代
    パンク、アンダーグラウンド、SMといった社会的禁忌をモチーフにしたコレクションで注目を集め、“ファッション界の異端児”と呼ばれます。1990年のマドンナのコンサート衣装(コーンブラジャー)で一躍世界中にその名を轟かせました。
  • 2000年代以降
    2003年から2010年まではエルメスのクリエイティブ・ディレクターも務め、ラグジュアリーブランドでの手腕も発揮。2014年にプレタポルテから撤退し、以降はオートクチュールに専念。2020年の春夏コレクションをもって自身の引退を発表しましたが、後継デザイナーによる年1回のコラボ形式でブランドは継続中です。

ブランドの特徴とスタイル

  1. ジェンダーレス・ボーダーレスなデザイン
     男性モデルにスカートを着せるなど、性別や常識の境界を曖昧にする演出で有名。これは現代のノンバイナリーファッションの先駆けでもありました。
  2. マリンルックの象徴的存在
     ブルーのボーダーシャツ(通称「マリニエール」)を軸にしたマリンスタイルはゴルチエの代名詞。デザイナー自身もたびたびこのスタイルで登場しました。
  3. コルセットやランジェリー要素の大胆な使用
     マドンナのステージ衣装に代表されるように、下着をファッションの表舞台へと引き上げました。ボディコンシャスで力強い女性像の提示は、女性の自立やセクシュアリティの表現とも重なります。
  4. 文化や宗教を再構築
     イスラム文化、東欧の民族衣装、カトリックなどをファッションとして再構築。大胆なアプローチが賞賛と議論を巻き起こしてきました。

代表的なアイテム・シリーズ

  • コーンブラジャー(Cone Bra)
     マドンナの「Blond Ambition Tour」衣装として有名な、先端が円錐形に尖ったブラジャー。フェミニズムと挑発の象徴。
  • ル・マル(Le Male)香水
     1995年に発表されたメンズフレグランス。男性のトルソー型ボトルとバニラベースの官能的な香りが特徴で、今なお人気のロングセラー。
  • マリニエールシャツ(マリンボーダー)
     ゴルチエのシグネチャーアイテムで、コレクションでも頻出。ユニセックスな印象と、古典的な海軍スタイルの融合が魅力。
  • デニム×コルセットの再構築スタイル
     クラシックな素材を再解釈し、ストリートとハイファッションの境界を溶かすアイテム多数。

ゴルチエが与えた影響と今

  • ファッション界における“規範への挑戦者”としてのポジションを確立。
  • 多くの若手デザイナー(ヴィヴィアン・ウエストウッド、アレキサンダー・マックイーンら)に影響。
  • 2021年以降は、サカイの阿部千登勢、Y/PROJECTのグレン・マーティンスなどがゲストデザイナーとしてコレクションを制作

映画界・アート界との関わり

  1. 映画『フィフス・エレメント』(1997年)
    • リュック・ベッソン監督によるSF映画で、登場人物の衣装を全てゴルチエが手がけた
    • 未来的で大胆なコスチュームは、今なお映画ファッションの金字塔とされています。
  2. 『キカ』(ペドロ・アルモドバル監督)などスペイン映画でも起用
    • ゴルチエはアート映画・インディペンデント作品にも数多く衣装提供。
  3. 映画『悪童日記』や『コックと泥棒、その妻と愛人』にも協力

音楽シーンへの影響

  • マドンナ以外にも、カイリー・ミノーグ、ビョーク、レディー・ガガなどが彼のデザインをパフォーマンス衣装として着用。
  • ビジュアル系アーティストや、フレンチポップ界のミレーヌ・ファルメールらも支持。

ゴルチエのファッションは、“ショー”としてのパフォーマンス性が強く、アーティストが自分を表現するツールとして最適とされてきました。

まとめ

Jean Paul Gaultierは、単なる“ファッション”の枠を超えて、「自由・反骨・挑発・ユーモア」をテーマに表現を続けてきた稀有なブランドです。社会規範やジェンダー、伝統美を疑い、再構築し、そこに美しさを見出すその姿勢は、時代を超えて現代のファッションにも通じる“先鋭的な魂”を宿し続けています。
「性別やルールに縛られない表現」をファッションに持ち込み、見る人の心を挑発し、自由にした先駆者と言えますね。

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