【日本】ジャポニズム/ALMOSTBLACK

日本の美意識を纏う革新!ALMOSTBLACK(オールモストブラック)が描く「ポスト・ジャポニズム」

はじめに:藍と黒のあいだを漂う美意識

ALMOSTBLACK(オールモストブラック)は、「Post Japonism(ポスト・ジャポニズム)」をコンセプトに掲げ、日本の伝統美意識、藍染の色彩感覚、そして現代のアートやカルチャーを服に落とし込むブランドです。
深い藍やダークトーンを基調に“黒に限りなく近い藍=褐色”を表現し、その曖昧な色調が時代を超えて惹きつける美学を体現しています。

1990年代以前からの藍染の伝統を、現代のファッションにリコンテクストする試みとして位置づけられ、その名前(“Almost Black”)自体が「黒か藍かあいまいさを内包する色」を意味するものでもあります。

ブランドの基本情報

  • 創設者:中島俊太(Shunta Nakajima)および川瀬真輝(Masaki Kawase)
  • 設立年:2015 年(ブランドとして最初のコレクション発表)
  • 本拠地 / 拠点:日本(東京を拠点に動いている)
  • 主力商品カテゴリ:アウター、シャツ、ジャケット、パンツ、ニットなどの衣類全般。オンラインストアではコート、パーカ、キルティングジャケットなども見られる。
  • 象徴的特徴
     - 深藍〜黒の曖昧な色彩表現(“藍が黒に近い”色彩)
     - アート/プリント/後染め・ペイント表現などの加工表現
     - 日本の伝統色や文化的背景をテーマに織り込む思考性 (“Post Japonism”)

歴史:伝統と現代の狭間を歩む旅

  • 中島俊太は ESMOD パリ校を卒業後、アンヴェルスで Raf Simons のアトリエにアシスタントとして勤務。そこで培った感性や芸術的視点を基盤にブランドを構築しています。
  • 2015–16 年シーズンに ALMOSTBLACK の最初のコレクション発表。以降「Post Japonism」というキーワードを軸に、毎シーズン日本の歴史、伝統、染色文化を参照しつつ新しい服を展開。
  • ブランド名やカラー選定にも、日本の歴史的な色名や染色文化(藍染、勝色「かちいろ」=深藍色、軍勝色=軍用藍※)を起点に据えており、それらを服の色調やネーミングに反映。
  • 最新では、プロジェクトライン “GHOST ALMOSTBLACK” の始動など、ブランド表現の拡張も進行中。

勝色/軍勝色とは
紺よりもさらに濃く、ほとんど黒に見えるほど深い藍色を指します。
「かちいろ」「かちんいろ」とも呼ばれ、名前の「かつ」は、布に藍をより強く染み込ませるために叩く(搗つ・かつ)作業に由来し、古くは「搗色」や「褐色」と書かれていました。
鎌倉時代になると、武士たちはこの力強い藍染を好みました。そして「かつ」に「勝」の字をあて、縁起を担ぐ意味を持たせたことから、戦いに挑む者たちの象徴的な色として広まっていきます。
さらに近代に入ると、日清戦争や日露戦争で用いられた軍服の紺色も「勝色」と呼ばれ、特に「軍勝色(ぐんかついろ)」と名付けられました。

つまり、勝色は単なる濃紺ではなく、「勝利を願う心」を色に込めた武士や軍人に愛された勇ましい色だといえるでしょう。

デザインの特徴

  • 色彩哲学:藍と黒のグラデーション
     “ALMOSTBLACK = 褐色”という表現が示すように、黒とは言い切れない “ほのかな色味” を持った藍を基調に、深みと陰影を伴う色味を用いる。
  • 加工表現とアート性
     大胆なペイント、後染め、バックプリント、複雑な切り替えなど、服そのものに “アート作品” 的な表情をもたらす要素をしばしば導入。
  • 構築×解体の併用
     肩線のずらし、非対称ライン、パネル切替、重ね構造など、構築感と緩さが同居するシルエット。
  • 文化的コードの参照
     “勝色”“藍染”といった日本の伝統色、テキスタイル表現をモチーフに取り入れ、現代服へ再解釈。

ブランドラインと展開

  • ALMOSTBLACK(本ライン):メンズ・ウィメンズ両方で展開。公式オンラインストアでコートやアウター、キルティングジャケットがラインナップ。
  • GHOST ALMOSTBLACK:ブランドの新たなプロジェクトラインとして発表されており、“幽かな存在感” をテーマとする展開。
  • コラボレーション/限定リリース:アート表現やアーティストとのコラボを織り込むコレクションも散見され、図案寄与やアーティスト背景を参照したデザインが登場。

代表的アイテム

  • Perforated Coat:微細な穿孔パターンを取り入れたコート。
  • Patch Parka:切り替えや素材の組み合わせを強調したパーカ。
  • Zip Quilted Jacket:ジップ付きキルティング仕様のジャケット。
  • 背面プリントジャケット:バックにアート性のあるプリントを施したアウター。

着こなし例とスタイリングの幅

  • モノトーン重視:濃藍〜黒を基調に、素材で陰影を表現する洗練された着こなし。
  • アートMIX:派手なプリントやペイントを主役にしつつ、他を抑えて引き算するスタイル。
  • レイヤード表現:ワンピースやシャツを重ねて、構築性と流動性を共存させる。
  • 控えめストリート感:パーカやキルティングを組み合わせ、カジュアルにアップデート。

コラボとカルチャー

  • ALMOSTBLACK は Raf Simons の Atelier での経験や芸術表現を影響源に語ることが多く、モード界との対話を意識したスタンスを持つ。
  • コレクションのイメージボードやグラフィック資料にアートや写真を多用し、服づくりを “ビジュアル作家性” の表現と見なす姿勢。
  • 文化的参照元として、藍染、勝色、武家文化、衣服の歴史をモチーフに扱う表現が複数のコレクションで確認されている。

トリビア:知っておくと語れる小ネタ集

  • ブランド名「ALMOSTBLACK」は、「藍が非常に濃くて黒に近づく」ニュアンスを持つ“褐色”という意味にも向けられている。
  • ブランド名や商品名において、銀比(silver ratio)という概念を用いてプロポーション設計を行うと言及されている。
  • 藍染の「勝色(かちいろ)」や「軍勝色(ぐんかちいろ)」など、日本の歴史・武家文化との関係性がテーマにある。

現在とこれから

  • 表現の拡張:既に始動している “GHOST ALMOSTBLACK” によってメインライン外の表現性強化を図る動き。
  • 国際展開:海外サイト(HLorenzo など)での取り扱いや、コレクション説明欄にブランド哲学が国際化された言語で記されるなど、国外プロモーションを強化中。
  • 文化再解釈の深化:伝統色・染色文化と現代アート・カルチャーとの融合というコンセプトをさらに突き詰めていく可能性。
  • アートとの接点強化:服を “作品” として扱う表現を重視しており、展覧会形式で販売も行うコレクションスタイルを試すことが報じられている。

ALMOSTBLACK がもたらす社会的価値

  • 日本文化の再提示:藍染や伝統色をモダンに再解釈し、国内外に日本的美意識を提示する。
  • アートと服の融合:服をアート作品として扱う姿勢により、“衣服=芸術表現” の可能性を拡張。
  • 曖昧性の許容:絶対的な “黒” ではなく“almost”(ほとんど黒)という曖昧性を持つ色彩観が、現代の多様性と共鳴。

まとめ:影と藍のあいだに宿る詩情

ALMOSTBLACK は、藍が黒に見える深度と歴史的意味を色彩に託し、その曖昧な色を身体に纏うことで、伝統とモダンの間を漂う物語を紡ぎます。
個人的には黒は深い深い黒が好きなんですが、このあいまいさの魅力に気付いてからは見方が変わりました。
微妙な色合いの美しさ、あなたもぜひ体感してみて下さい。

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